相見積りの賢い利用法

相見積りを考える図

相見積りの賢い利用法

相見積りは、工事金額の相場や工事の妥当性を理解するには有効な手段となります。一般的には「あいみつ」と略して使用する場合が多いです。

相見積りの方法としては、お客様自身が業者に現場を見てもらい見積りを出してもらう方法と、ネットの見積りサイトからまとめて相見積りをする場合が考えられます。

ネットの見積りサイトからまとめて相見積りをする場合は別項目で考えるとして、ここでは主にお客様自身が業者に現場を見てもらい、見積りを出してもらう方法を考えます。

うまく利用すれば予算内でグレードの高いリフォームを実現できます。

反対に、価格だけで決めたり、ライフスタイルを無視した考えで利用すると、がっかりする結果となります。

見積り条件を統一することが基本

当然のことながら、見積り条件が同じでなければ比較できません。希望金額や、材料のグレードなど、工事内容が同じでも使う材料で価格はかなり変わります。リフォームの場合、キッチンやユニットバスのグレードはお客様にはわかりにくいです。お気に入りのものがあればそれを指定します。

商品の指定がない場合、たとえばキッチンの中級品を頑張って値引きしてそこそこの値段で提案した場合と、普及品(定価設定が高い場合が多い)を大幅値引きして、安価に見せかけた場合、相見積りで見積書のみを見て、お客様が決定する場合、だいたい安価な方に決まる場合が多いと思います。

このように考えると、お客様の考えがしっかりしていないと、相見積りは意外と厄介な方法ともいえます。

希望する金額は伝えるべき?

雨漏りなどの場合は修理個所により希望金額で出来ない場合も出てきます。しかし希望金額に近くなるよう努力して、工事材料、工事方法を考えるのが請け負う側の役目です。遠慮なく金額は言いましょう。

通常のリフォームでも希望金額がわかれば商品のグレードを考え、提案しやすくなります。

良い業者は希望に添えるように考えてくれます。また提案する側も希望金額がわかれば、その金額ならこの方法、もう少し良い方法は少し高くなるけど提案に入れて見積りを何種類か出そう、とか考えられるのです。

希望金額の中で、どれだけお客様の期待にこたえる提案が出来る業者かを見分けるのが相見積りの本質だと思います。金額の安い高いではありません。

お客様の希望を考慮せず、業者側の見積りのみを押しつける業者はやめた方が無難です。

提案された見積書を比べる時の考え方

提出された見積書から、業者がリフォーム内容をどのように理解しているか、その対処方(リフォームの方法)はどうかを知ることが出来ます。

雨漏りの場合は、原因に対しての処置方法、工事範囲、納得できる金額かを知ることができます。通常のリフォームなら、商品グレードは希望通りか、付属する工事(水道工事やクロス工事など)は適切かなど、商品に対しての値引きなども知ることができます。

またお客様の希望よりもプラスαの見積りが提案されてい場合もあると思います。見積り依頼時に、相手の業者に会っているわけですから、見積り内容から、人柄などが推測できる見積りなら、良い見積書と言えると思います。プラスαの提案はお客様目線であることが一番なのは言うまでもありません。

希望金額と、見積書を見て、じっくりと考え決める事をお勧めします。決して金額が安いだけで決めてはいけません。

気に入った見積書をもっと理想の見積りにしよう

気に入った見積書がある場合、雨漏りの場合の修理は、だいたい見積り通りですすめても大丈夫だと思います。しかし普通のリフォームの場合は、細部をもっと検討し、互いに意見を交換し合い、時間をかけてなければ良い工事は出来ません。

特にキッチンや浴室など金額の大きくなるリフォームは時間をかけて相談することが大事です。経験上、見積もり段階で考えがまとまっているお客様は少なく、あれこれ考えながらまだ迷っているという方も多いです。

考えをまとめ、担当者に相談し、技術的、価格的に出来るかを考えてもらい、それを見積りに反映させてもらいます。またその見積りをもとにお客様の希望を考えてゆく、という方法がリフォームには必要です。検討を重ね納得して工事に入るのが理想です。

私は、大きなリフォームの場合は見積りだけで2~3カ月かける事もあります。お客様の考えがまとまるのを待つのです。考え抜いたリフォームでも工事が終わってから「あの方がよかったかな?」という不満が出る場合もありますが、「時間をかけて考えたのだから満足だ」と納得される場合が大半です。クレームになることはありません。

見積書を見せられ、急がされて工事をしたリフォームは、あとあとお客様の不満につながる場合が多いのです。雨漏りのように緊急性のある場合を除き、どんなに良い提案書だと思っても、工事を急がせる業者は選ばない方が賢明だと思います。

同じ工事内容、同じ金額でも工事の仕上がりは同じではありません

簡単な雨漏り修理で、雨漏り原因、工事方法を納得して金額提示の一式工事という場合はある程度、工事水準は保てます。(それでも職人の技量が大事)

やっかいなのは、たとえばユニットバス工事の給排水、循環接続工事の一式表示の場合、工事金額が同じでも仕上がりは業者により全く違う場合もあります。

マンションのユニットバス工事の場合、旧ユニット解体後の給排水、循環接続は大本の接続部が、完成後見えなくなる場合が多いです。その為、事前に打ち合わせ、接続部の水漏れがないように確認して接続を行います。

現在の配管は従来からの塩ビ管から樹脂管による配管に変わってきています。接続部の信頼性も高いです。ただ接続部の金具取り付けの不具合から水漏れも起こります。接続後は必ず水圧をかけて確認します。水道屋さんまかせだと確認がおろそかになる場合もありますので注意が必要です。

戸建だと、新しい配管との接続部は壁側から見える位置、万が一水漏れしても直せる位置に、設定するのが望ましいのです。また外の配管部は見た目もきれいにする必要があります。このような所に気をつけて工事をするには、工事職人の高い意識と、工事管理人との打ち合わせも非常に重要になります。

また樹脂管の接続部品は信頼性の高いものを選ぶよう、職人に指示する必要性もあります。(ここで部品をけちっても意味ありません)

このように単純な水道工事でも、職人の意識、工事管理人との打ち合わせ、材料の選び方、工事確認方法など、工事に対して高い意識が必要です。決して同じ金額でも同じ仕上がりではないことがあると覚えておいた方が良いと思います。

金額ではなく、良い工事をしてくれる業者(職人)を選ばなくてはいけないのです。工事は人柄を反映します(実感です)

私は、請け負った工事については、大事なチェック項目の確認は、必ず自分ですることにしています。

現状のリフォームはこの各工事の重要なチェック項目について、職人任せがほとんどだと思います。なのでトラブルが起こる確率が高くなっていると思います。

提出されている見積書を業者に見せてはいけません

すでに提出されている見積書がある場合は、絶対次の業者に見せないでください。見てしまうと人間ですから、少しでも安い価格を提示すれば、工事をとれると考えます。値上げ競争になるわけです。内容は最初の業者のままになることが多いです。

内輪の話ですが、「あいみつの見積書を最初に出した場合は、工事が取れない」というのがこの業界の定説です。つまり価格競争をさせるための方法になっているわけです。

エクステリアのデザイン込みで提案する業者は、図面だけ参考にされて工事を受注できないことも多いようです。なのでこのような会社は相見積りをしない場合も多いです。お客様の考えを元に、商品を選び、価格を調べ、工事内容を吟味してやっと見積書が出来上がります。作成だけでも何日もかかる場合もあります。コストはかかっています。(どんな見積りもコストはかかっています)

ノウハウやデザインのみを使われて、他の業者に工事価格のみ下げられてしまうと、努力が水の泡となってしまいます。ただ正当な理由で断られると、納得でき、次の見積りに生かす反省点となります。

希望金額の範囲で、お客様の期待にこたえる提案力を引き出すのが、本来の相見積りの役目です。

価格競争のためだけに利用してほしくないと思います。

相見積りの結果は必ず伝えてください

相見積りの結果は必ず業者に伝えてほしいと思います。断る場合は伝えにくいと思いますが正直に伝えるのが一番です。

価格的に合わなかったでもかまいません。もし具体的に「ここが違ったので選ばなかった」という点があれば、伝えてほしいです。次の見積りに生かせますので。

相見積りしても、結果を知らせてこられないかたはたくさんいらっしゃいます。

断りの電話であっても、見積りしてもらってありがとうの気持ちが伝われば良いと思います。