工事は金額のみで決めてはいけない理由
工事は安価にすませることが出来れば一番だ! とお考えの方がほとんどだと思います。修理などでその目的が達せられる場合は、財布にやさしいのが一番です。(耐久性の問題はありますが)
電化製品などの工業製品なら安く買っても品質は保証されていますが、リフォーム(修理工事)の場合は人がかかわってきます。同じ金額の工事でも請け負ってくれる職人さんの技量、丁寧さなど金額では表わすことの出来ない要素が入ってきます。金額だけでは決められない理由のひとつです。
金額で表わすことが出来ない要素のある工事だからこそ、職人さんや工事会社を慎重に選ばなければなりません。価格だけで選ぶのは危険です。
お客様と以前のリフォーム(修理)についてお話ししていると、「もう少し考えればよかった」「こんな提案をしてくれればよかったのに」「こんな簡単に追加できるのなら追加したかった」など、後から考えるといろいろ出でくるようです。
これはお客様が「リフォームについての明確な考え(目的)を示せなかった」、「業者がお客様にリフォーム目的を明確化するように提案しなかった」など行き違いもあると思います。
その為に「お客様の為にはこれも追加した方が利便性が増し、費用もあまりかからない」「お客様の目的にはこの項目はもう少し見直した方がよいのではないか」など、お客様本位の提案が出来なかった事が大きいと考えられます。
リフォームの工事目的が明確でなかったため、余分な工事や反対に本当は必要な工事をしていなかったということが起きているのだと思います。
雨漏り修理の目的を明確にすると最適な工事価格が得られます
雨漏り修理の場合、修理する結果について3通り考えられます。
- 原因もはっきりしており、修理工事をすれば直ってしまう場合
- 原因もはっきりしているが、提案の修理方法ではまた5~10年後には同じような雨漏りが起こりやすい場合・・構造的な問題がある場合
- 原因ははっきりしている。修理方法は全面リフォームとなる場合。またはお客様が全面リフォームを希望されている場合。金額的には高額
1と3は問題はありません。
自分のライフスタイルや予算を明確にする必要があります
問題は2番です。
構造的な問題でかなり広範囲に修理しないと完全に直らない。雨漏りを止めるだけなら止められるのだが、構造的、材料的(経年変化も含む)にまた数年で漏る可能性がある。
というケースがかなりあるのです。
構造的にまた漏る可能性があるというのは、修理する側にはわかりますので、私ははっきりと対策も含めてお伝えしています。
この時に、金額的な問題も含めて、ご自分のこれからの生活、家族の関係などを十分考えて結論を出されるのが一番良いと思います。長く住むなら、大規模改修で安心を得ることも出来ます。5年ほど雨漏りが止まれば十分という考え方もあります。
考えを明確化しないと、予算を効果的に使う事ができません。
目的にあった最適な工事価格・・でも予算オーバー!その時の考え方
最適な工事価格といっても、予算がオーバーなら工事ができません。でも考え方ひとつで、ある過程を省いたり、商品を見直したりで対処できます。絶対に譲れない項目を残し、後の項目を整理してゆく方法をおすすめします。自分で納得して予算を見直すと不満が残りません。
一般的なリフォームでもリフォームの目的を明確化すると失敗が少なくなります
大規模なリフォームの場合、キッチン、浴室、トイレ、洗面、居間のフローリング、クロス貼り替えなど、さまざまな項目が出てきます。
予算が十分にあれば別ですが、ある程度限られた予算の場合、金額的にキッチンと浴室の兼ね合いが重要となります。どっちつかずの選択になるとあとで不満が出ることが多いようです。
私は、キッチンか浴室かどちらを重視するかで、一方に希望するグレードの機種を選択することをおすすめしています。
たとえばキッチンを重要視する場合は
- お気に入りのメーカーの機種を選ぶ。コストパフォーマンスが高いのは各社の中級メイン商品です
- 下台は引き出し式が主流です。収納容量もかなりありますので、家族構成によっては吊り戸は不要です。換気扇のみの選択もできます。
- 掃除がやっかいな換気扇、自動洗浄機能付きの換気扇も発売されています。少し高いですが、お手入れをする時間と労力を考えると選択肢に入ります
- 見過ごされがちなのが電源です。電子レンジや炊飯器など専用回路のコンセントをつけるとブレーカーが落ちません。1回路は1~2万円前後ですので必ず付けてください。
- 冬対策として、足元の暖房をどうするかも考えておいたほうが良いと思います
浴室(ユニットバス)を重視する場合は
- これもお気に入りのメーカーの機種を選ぶ。コストパフォーマンスが高いのは各社の中級メイン商品です
- 浴槽の断熱、壁廻りの断熱も選んでください。
- 昔は高額商品だった、浴室暖房も安価になりました。衣類乾燥がいらなければ暖房と換気機能付きで十分です
- 床廻りのカラット床や排水口の掃除のしやすさなど各社特徴があります
- 断熱や暖房機はセットで選ぶと本体と同じ割り引きになりますのでお得です。
他にトイレや洗面所重視の方もいらっしゃると思います。
要はこれと思うものにお金をかけ、他はスタンダード品ですませることです。
スタンダードな商品て何?
新築で購入する場合、高額物件を除けは、戸建もマンションも設備は各メーカーのスタンダード品と考えられる商品で構成されています。
一般的にはほとんど不満のない商品だと思います。
お金をかける価値のある工事が良いと思います
当然、安価でよい工事もでき満足する工事もあります。この場合は価格で決めて良かった場合です。エアコンの交換や給湯器の交換などは機器の価格が安価になれば、工事費はあまり差がないと思います。
工事をともなうリフォームの場合、使い勝手やメインテナンスのしやすさなど、細かい所に気をつかわなくてはいけない場合が多いです。お客様の希望と職人の作業が一致しなくては満足できる工事にはなりません。
お客様本位の職人さんや工事会社と目的を明確化したリフォームで予算を効果的に使い、「よい工事になった。金額も満足できる」という工事にしたいものです。
金額ではないという実例
私の経験した実例です。「なるほどこういう考え方もあるよね」とその時思ったものです。
賃貸用にする為の中古マンションのリフォームでした。見積りでお会いし、現場を見せてもらいました。その時、「賃貸用にするのでなるべく費用を抑えたいのです」とのお話です。
「当社は一般家庭がメインなので賃貸用としては費用が少し高くなりますよ」と話すと、他社の賃貸向けの金額が書かれた見積書を提示され、「この金額以下になりそうですか?」とのこと。
やはり賃貸向けの金額でしたので、「この金額では当社はできません」ということでその時は終わりました。賃貸用はほとんど職人さんに丸投げで管理はされていないようです。なので細かな所の仕上がりが不満につながることが多いようです。
半年ほどして、もう1件、賃貸用があるので、工事を依頼したいとのこと。
理由を聞いてみると、「細かな所も全部やってくれると思っていたが、見積書の項目以外は出来ません」とのことで、自分でやるしかなく、慣れない作業で1週間もこまごました修正にかかってしまった。
大変だったとのことでした。賃貸用なので、ちょっとした所を直したり、部品を交換、シール、塗装補修・・などいろいろあるのです。
このちょっとした事を誰がするのかが大事で、それぞれの専門職に頼むと高額になります。なので「見積り項目以外出来ません」という答えになる場合が多いようです。最後の仕上げが安価なリフォーム屋さんの盲点なのです。
私は最後の仕上げは自分でやりますので、経費を少し多くいただき工事を受けました。満足していただきました。
自分でなれない事して疲れてしまうより、数万円の上乗せで満足できるならOKということなのです。こういう考え方もあると思いました。