見積り項目、諸経費や一式工事を考える

見積り項目、諸経費や一式工事を考えるの図

見積り項目、諸経費や一式工事を考える

雨漏り修理やリフォームは、さまざまな職人さんに工事をお願いする場合が多いです。

屋根工事、FRP防水工事、大工工事、足場工事、板金工事(トタンなど金属加工です)、塗装工事などです。屋根工事も瓦屋根とガリバリューム鋼板屋根だと職人さんが違う場合もあります。

見積り項目も専門用語で書かれていたり、単位が㎡、本、一式など様々です。また諸経費という項目もあり、一般の方にはなじみが薄く、どうしてこの金額になるのかわからないと言った意見も多いと思います。

たとえば下記の表の場合を考えてみます。これはベランダの防水工事です。床下地を直してFRP防水をする工事の一部です。

見積り項目見本
  • 材料明細・・(例)コンパネ:床の下地を直す材料です。他の材木などわかる範囲で必要本数を記入します
  • 施工 大工・・上記のコンパネなどを敷く大工工事の必要人数です。当初2人で考えていても、現場状態が悪くもう1日、1人工追加になる場合もあります。この場合、現場をお客様に見ていただき理解を得る場合と、あらかじめ、予備費として項目を追加しておく方法があります。
  • 下地処理(清掃、ケレン)・・防水工事をする準備段階で、下地を綺麗にし、防水材料が下地に密着するよう処理する大事な項目です。この処理は現場により簡単な場合と、大変な場合があります。下地処理がやっかいな場合は見積り段階でお客様に説明しておくことが大事です。単価としては幅があります。
  • FRP防水(トップコート含む)・・FRPで防水工事をします。プライマ塗布 → グラスマット敷き → FRP塗布 → トップコート塗布 が工程です。上記の下地処理が出来ていれば問題はありませんのである程度一定の価格になります。ただ工事面積が大きくなると単価は下がります。
  • 残材処理・・産業廃棄物としての処理です。材料の種類により、捨てにゆく処理施設が異なる場合や、混合廃棄の場合は割高になります。(施設で分別するため)現場で分別すると手間もかかりますので結局かなりの費用となります。また捨てにゆく手間と交通費なども考えなければいけません。とにかく以前より割高になりました。
  • 職人必要経費(駐車場、運搬費など)・・車移動なので、車の維持管理費、ガソリン代、材料調達手間などの必要経費です。駐車場代がかかる場合は別途清算になります。また事務経費などを少し上乗せする職人さんもいらっしゃいます。(会社経営上の必要経費です)5千円から2万円位が多いので一式で計上しています。
  • 当社必要経費(諸経費)・・当社の工事監理費、交通費、車両維持費、事務経費などです。雨漏り修理の場合はノウハウ費を頂く場合もあります。大体工事費の10%前後になります。1日当たり○○円×工事日数で考える場合と、一式で考える場合があります。上記は私の見積りの考え方です。

他社も項目としては同じようだと思います。

材料の項目

材料については出来る限り詳細に書いてあるのが望ましいと思います。ただ材料名だけではお客様がわからないことも多いので具体的に何に使用する材料かを説明してあるともっと良いです。

細かな材料(ビスや釘、金物など)はまとめて一式で書くこともあります。

施工費

施工費は人件費として職人が○○人として考える場合と、1~2人位の職人と技術料を考え一式で考える場合があります。一人だいたい2~3万円位で考えています。一番多いのは2.5万円前後です。1日の人件費、技術料としては妥当かなと思います。この中には請負会社の経費約10%位は入っています。

職人さんも毎日仕事があり月20日ほど働くという前提です。ただ季節によりムラがある場合も多いので、2.8万円位を目標にしています。

施工費(人件費)があまり安価になりすぎると、職人の意欲が下がります(当たり前ですが)。何か問題が出たときに、そのまま流して、やり直さないことも出てきますので注意が必要です。

人件費の価格が適正でも、請負会社の体質によっては不当に職人さんの取り分が少ない場合もあります。この場合は見分けるのが困難です。この場合も工事が雑になりがちです。

私は、人件費は基本的に、職人さんが見積る金額が適正と考え、見積り項目が適正ならばその通りに支払っています。お客様の希望でもう少し金額を抑えたい時は、相談して金額を決定しています。

ただ現実には、残念ながら不当な単価で工事をさせられることも多いようです。

施工費は現場状態で見積りよりも多くなる場合が出てきます。その場合は現状をお客様に説明をし、了解を得ることが大切です。

1人工位の金額アップは必要経費からカバーできるように考えている場合も多いです。ただ材料が余分にかかる場合は説明して了解を得ることが必要です。請け負った会社はこの経費を決して、職人に負担させてはいけません。

平米単価

塗装面積や屋根面積、屋上などの平屋根の防水工事などは面積、長さ、などの単位で 材料費+人件費 込みの単価で表す場合が多いです。塗装などの場合、材料代+人件費+経費(利益)で計算して㎡になおすと大体価格が合います。

職人さんの見積りは経験に基づいて価格を算出しているようですが、単価は適正だと思います。

一式工事

一式工事で表わされると、何が一式なのかがわかりませんよね。これを利用して細かい明細だと利益が下がるので、一式で計上してしまう場合もあるようです。細かく説明する必要もないので、一式を多用する会社もあります。一式で表わされる項目が多い会社は注意が必要です。

ただ一式の方が便利な場合もあります。小さな仕事で、職人さんの人件費(午後一番で終わるぐらいの仕事が多い)+手持ちの材料 で終わる場合は交通費も含めて2.8万円(一式)などと見積りを出す場合も多いです。ちょっとした修理なども一式の場合が便利です。

一式の場合も現場が遠方の場合は交通費のみ別途請求とし、材料が決まっている場合は材料金額、材料品番と定価を明記して請求します。

大きな金額で一式を使うことはほとんどないと思います。たとえば工事一式10万円などです。

諸経費(必要経費)

諸経費(必要経費)で何でしょう?お客さまからすると必要な経費だとはわかるが、中身はさっぱりわからない?というのが現状だと思います。

必要経費は会社の利益を表わしている場合が多いです。工事全体に占める利益の割合は20~30%(工事金額により異なる)位で考えている場合が多いです。工事項目全体で10%ほど利益を計上し、必要経費部分で事務経費や宣伝費、車両維持費などを計上しています。

必要経費をいきなり20~30%を計上すると、金額が大きくなりすぎるので分散する場合も多いようです。

10万円位の工事だと30%利益でも3万円です。工事見積り、工事管理を考えると1日工事でもこの位利益がないと成り立ちません。

100万円など金額が大きい場合は、請負会社の規模で利益が変わると思います。小規模な会社よりは大規模会社の方が経費がかかる関係上、利益が大きくないと会社を維持できないのは当たり前です。

どんな仕事も適正な荒利益がないと会社そのものを維持できません。正直な会社は適正利益を考え、見積りを提出しています。

優良な工事を提供できる会社は、見積書からいきなり大幅な金額を値引きすることは出来ません。大幅な値引きが出来る見積りは、商品を見直すとか、工程を考え直すなど適正な理由がない限り、見積り金額そのものが間違っていると考えてください。

たとえ必要経費が少なく計上されている会社も、必ず全体の金額に対して、適正利益はとっています。会社を経営するうえで適正利益を得るということは非常に大切ですから当たり前と考えていただけるとありがたいです。

見積書を見る時の注意点

相見積りの場合、たとえばユニットバスの工事の時、給排水工事(一式)の金額が異なっている場合、どちらの見積りが正確なのがわかりません。

ざっくりとユニットの工事ならこれくらいと考えて出す会社と、綺麗な配管、後から修理しやすい配管、断熱材も2重に巻いた方がいいかなとか、いろいろ考えて出す会社、金額からは分かりません。

同じ工事内容、同じ金額でも、工事をする職人の意識、工事管理人の考え方で内容は変わります。

これは私が実際に工事を依頼する時に思ったことです。水道工事で同じ内容の工事(同じ金額)を依頼しても仕上がりが違うのです。工事仕上がりには職人の人柄が出ると思います。

見積りの項目、金額だけでは、わからない所があるのは覚えておいてください。

相見積りの場合、どうしても安価な金額の見積りに決められる方も多いようです。安価な金額で水準の工事ができる保証はありません。安価でも良い工事が出来る場合もあります。

最後は金額でなく、依頼する相手の人柄を見るのが一番かと思います。